2011年2月19日土曜日

初雪@北京

先週、北京で初雪が降った。

このタイミングでの初雪は、なんと60年振りの記録的な遅さだという。

中国人は、この手の「記録的な」データが好きだ。
昨年も、50年ぶりの「記録的な」大雪と新聞が報じている。

昨年(確かに沢山降って、万年雪が氷と化して大変だった)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=avci63S.x8l8

雪が降っていくつか気づいたことがある。

1. 静電気が劇的に減少

金属に触れる度、バチバチ音を立てるほど激しく発生していた静電気が沈静化した。大体40%弱位の湿度が降雪によって、10%程度上昇したことによって、摩擦が減ったためか。

2. 手際のいい北京市の雪処理

雪かきや、融雪剤の散布等が用意周到に行われ、深夜に降り始めて、積もった雪を早朝から処理し始めて、歩道等の安全を確保するなど、昨年に比較してその手際のよさに驚いた。

3. 雪融けの速さ

降って数日後には、消えかかって、気温はマイナス前後だが昨年のように万年雪になる気配がない。雪が降って気温があがったことは間違いないが、この融けるスピードは雪国生まれの当方からすると意外にも早いので、不思議に思っていた。

すると、同僚から、ロケット発射による人口雪というニュースを見たと告げられて、それが事実だと分かったときに後者2つの理由に合点がいった。もともと計画されていたので、北京市も準備していたし、人口的に降らせたので融雪も速いということなのだろう。

ジョギングをしながら中央電子台のニュースチャンネルを見るのだが、確かに先々週あたりから、干ばつの話題が取り沙汰され、今年の穀物収穫に深刻な影響が及ぶ可能性が指摘されていた。この対策としてロケットを打ち上げて人口雪を降らせたということだった。

湿度が上昇して、空気が肌にまとわりつく感じが若干するようになると共に、気温も上昇してきて、春節の終わりのタイミングで春の訪れを感じるようになってきた。

2011年2月11日金曜日

優しい日本

旧正月休みに駐在後、初めて休暇で1週間近く日本に帰国。

中国から戻って、以前海外から帰って来た時に度重なって感じたことを改めて感じた。

一言で言うと、「日本は優しい」。

まず、空気の柔らかさだ。

欧米や北京といった乾燥した大陸機構から成田や羽田に降りたつことが多いので、日本の湿気が体を柔らかく包み込んで、ちょっとした優しさを感じさせる。東京の冬も今年は特に稀に見るほど乾燥していたが、それでも北京のような肌のかゆさを引き起こすほどの乾燥はなかった。これだけで、まず肉体的に優しさを感じる。

勿論、梅雨や夏の季節の東京の蒸し暑さには、辟易してしまう。これらの季節に日本の空港に降り立った瞬間に感じる、「むわっ」とするあの空気がまとわり付くむさくるしさには、勘弁して欲しいという気持ちと共に、「ああ、祖国に帰ってきた」という複雑な感情が紛れ込む。

次に思うのが、水の優しさだ。

水資源に恵まれた日本の水は、雨を主体とした水が森林から水源地に豊富にもたらされるので、雨に近い柔らかさがあるのだろう。それが、水とワインの値段が変わらないほど、水資源が貴重な欧州等の大陸では、地下に蓄えられたのちに地上に沸きあげられた水なので、時間をかけて水が創り上げられるために、ミネラル分を豊富に含むが、それだけに硬さを感じてしまう。

飲んだ時だけではない。一番この軟らかさを感じるのは、シャワーを浴びる時だ。日本の柔らい水が体を這う際に感じる抱擁感は、他の国では味わったことの無いものだ。慣れ親しむと体にまとわり付くと感じるかもしれないが、実はこれが温泉でリラックスという文化が発達した背景にあるのではないかと思う。

海外に行く時には必ずリンスと普段より緩めの整髪料を持参するが、これは、経験則から大半の地域が、日本より乾燥していて、且つ硬水となる地域が多いからだ。日本では、丁度良い整髪料が、これらの地域では、日本の1.5倍ほどの整髪力を感じるほどの強烈さなのだ。そうなると、リンスも重要となる。髪質の異なる主に欧米人向けのシャンプーでリンスがないままに、髪の毛を洗って乾かすと、髪の毛がボウボウとなって大変なことになる。

日本の優しさは他にもある。

日本の女性の優しさは、世界中の男にとってはたまらないものだろう。ただ単に化粧や身なりを綺麗にに着飾るのみならず(それだけでも日本人女性は世界でもトップレベルだ)、男性を思いやる気持ちと献身的な態度を兼ね備えているのだから。男尊女卑ということではなくて、純粋に男としてどのような女性を伴侶にしたいかと思うと、日本人女性は、最高レベルに位置する基本素養を備え付けているのでは無いかと思う。これは、今回日本に戻ってきて、妻からも再認識した点だ。

でも、これらの要素が揃えば優しさを感じるかというと、そうではない。

やはり、日本の財力と技術に支えられた高水準のインフラ、安全とサービス精神があってこそだ。日本に行くと不要な緊張感が、解かれて落ち着けるのは、そういった環境もあるからだろう。

2011年2月1日火曜日

1月に聞く音楽

新年の初めに何を聞くか、これは結構大きな問題だ。

初ものずくしの正月に心機一転の心持でオーディオを立ち上げて奏でる曲には、こだわりたい。そう、正月らしく背筋を伸ばして新年の心も新たに、書き初めのような心境でピュアな音楽としっかりと対峙したくなる。

そんな時に聞く一枚がこれだ。


40分ほどのソロピアノメドレー曲集なのだが、のっけから、ペトルチアーニは、物凄い集中力と緊迫感で迫ってくる。冒頭の曲は、Herbie HancockのMaiden Voyageという渋い選曲で、演奏には緊張感ある息遣いが伝わってきて、年初に新たな船出をするという気分にさせてくれる。その後は、スタンダードとオリジナル曲へと次から次へと展開していって、最後は、Take the A Trainという誰もが知る楽しいDuke Elingtonの曲で盛り上がって終わるというドラマティックな展開は、正月番組で琴の演奏を聴いて背筋を伸ばした後に、酒宴が徐々に盛り上がって宴もたけなわに正月特有の大衆大道芸を見て盛り上がるという正月特有のお約束のようだ。

クライマックスは、オリジナル曲のRachid(恐らく息子に捧げた歌)の優しく切ないメロディーだろうか。冒頭では緊張感に溢れた張り詰めるような雰囲気で始まったと思いきや、徐々にウォームアップしていき、この曲で完全にペースを切り替えて、クライマックスを迎え、リラックスして抱擁力のある優しさに溢れる音をつむぎ出し、徐々に明るい部分が大半を占めるようになって、最後は電車のガタゴト音をお得意の16部音符で弾きまくって聴衆と一体となってノリノリの状態で終焉に向かっていくという、演奏だけではなく、聴衆の期待にしっかりと応えるという恐ろしいエンターテイナーぶりを見せる。

演奏も楽曲も展開も素晴らしいのだが、この曲は、集中力を要求される割に演奏時間が長いので、時間がある時でないと味わえないので、比較的時間のあるお正月向きと言えるのだ。

お正月に味わう新たな心持とお祭り騒ぎをじわじわと感じさせてくれる一枚。
これは、今は亡き数あるペトルチアーニのソロアルバムの中で最高のアルバムだ。