先日、NHKワールドワイドを見ていると、突然画面が真っ暗に。
この状態が数分間続き、ニュースが途中から再放送された。
前日のウェブニュースから想像するに、以下2トピックが立て続けに流れたためと思われる。
1. 人権活動家Gmailアカウントへのハッキング行為に対する中国政府関与
2. 中国人権活動家のノーベル平和賞受賞
そして、どのような判断基準と手段で検閲をしているのか、NHKニュースに通常よりも注意を払うようになった。
翌朝早朝のニュースを見ると、冒頭の日本人ノーベル化学賞受賞ニュースのところで、フライング気味に真っ黒になったかと思うと、直ぐに回復。また、その後の中国人ノーベル平和賞のニュースではなんと、この件で全くメディアに取り上げられることのなかった受賞者の顔写真に続き、オスロで中国大使館に対する一般市民の抗議が行われているというニュースの冒頭まで流れ、また画面が真っ暗に。
このオペレーションを見て、一つ分かったのは、マニュアルでリアルタイムにコントロールしているということ。早朝のニュースということで、監視員の集中力が低下していたのか、普段流れることの無い情報まで垣間見ることができた。恐らく、当局のところにON/OFFボタンがあって、懸念のある情報が流れると、監視員判断でボタンを押すのだろう。
中国での報道については、完全に共産党の指導の下にコントロールされていることが、新聞の内容から読み取れる。
毎朝、中国語と英語の3つの新聞に目を通しているが、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の問題の取り上げられ方を見ると、論調は若干異なるものの、露出度合いが毎日足並みを揃えているようだ。
57民族13億人を束ねるのは、容易ではなく、共産党はマスメディアに相当神経を尖らしているのだろう。
4億2千万人を超えるユーザーを擁するインターネットもまたしかりで、数千人から数万人とも言われるネット監視員が人海戦術で、ウェブ上のニュースや書き込みの情報をチェックしては、アクセス停止や削除等を繰り返しているという話だ。また、これらの情報をモニタリングすることで、世論の動向を掴み政治の舵取りをしているとも言われている。
インターネットで情報配信を行う企業は政府から通達されるNGワード(天安門事件、法輪功等)を徹底的に排除することが求められ、これを実施しないと、Googleのような憂き目に会うという構造がある。中国では、Facebookや、Twitterは規制の対象で中国内からは利用することが出来ない。ところが、そのコピーキャットとなる中国企業によるサービスは、利用が出来て、中国ネット利用者には浸透しているのだ。この差は、まさに政府の指導を受け入れるか否かにあるのだろう。中国においてネット上で情報配信をするには、サーバー等を中国内に設置して、政府の管理下に置くことが求められているのだ。
米国政府は、これについて言論の自由が無いと人権外交を推し進める一方で、中国政府は内政干渉との立場を貫いている。言論の自由を何処まで認めるのか、非常に難しい問題ではある。言論統制は、世界の多数の国で行われており、国境なき記者団が発表する世界報道自由ランキングを見る限り、世界中の多くの国で何らかの情報規制が行われていることがわかる。報道の自由が高い国は、先進国が多く、情報規制の厳しい国のキーワードは、共産圏や軍事政権等の一党独裁、王政、イスラム圏といえるだろう。
王政の敷かれたタイでは、日本の週刊誌等も手に入るのだが、仏教国ということもあり、露出の激しい写真等は、当局によって切り取られた形で販売されているし、恐らく王政批判をするような書籍は出版されることは無いのだろう。中国では、出版は厳しい規制に晒されており、日本の本は一般の書店で販売されておらず、個人輸入でもしない限り手に入れることは難しい。アラブ諸国のイスラム圏においても、宗教警察が一般市民の動きと情報をウォッチしており、イスラム教や王族に反する情報に規制をするような状況と想像する。以前アラブ諸国でインターネットをした際に、幾つかの日本のニュースサイトが見れなかったのだが(宗教色の濃さと規制の度合いは比例する関係にあるようだ)、先日サウジアラビアとアラブ首長国連邦でブラックベリーが使用禁止となり、最終的にメールサーバーを現地に設置して政府管理下に置く事で決着したストーリーを聞いても、かなりの規制が依然として存在していることが分かる。これらの国では、体制の不安要素を徹底的に取り除かれなければ、体制を維持できないという表れでもある。
日本は、どうなのだろうか。
先日、地図情報サービスから尖閣諸島の中国語名、「釣魚島」を削除するように外務省がグーグルに要請したというニュースを見た。グーグルマップ上での表記は、非常に興味深いので、また別途書きたいと思うが、こういう政治力学上の情報統制も行われていることを考えると、日本での言論統制もいかがなものかと思う。これをやるのであれば、政治家は、Googleのみならず、日本法人の全民間メディアに対して尖閣諸島で統一するように通達を出して言論統制していくべきだと思うが、これをやればやるほど、言論の自由を奪っていくという皮肉が生まれる。
その日本政府が申し入れを行ったGoogleだが、中国での地図情報サービスについては、継続の意向を示してライセンスの延長申請をしているものの、中国政府から否認されているという事実がある。つまりテリトリーは別としても、中国政府から否認されているサービスに対して日本政府が神経質になっているという、おかしな構造があるのだ。
こういう状況からすると、日本政府は、象徴的にグーグルを言論統制の形で主権を主張するよりも、中国から否認されているサービスなのだから、それほど神経質にならずに大きく構えて言論の自由を認める姿勢を取っても良さそうな気もする。
それにしても、政治問題にまで度々登場する、グーグルの存在感たるや恐るべきもの。インターネット産業に携わる者としては、心強くもあるが、政治との距離感については、注意を払わなければならないと思う次第。
2010年12月19日日曜日
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